2)バックホウ(ユンボ)の作業開始前点検
1)取扱注意事項
1.運転操作は有資格者が行う。
2.修理・アタッチメントの脱着作業は、作業指揮者を定め、その者の指揮で行う。
3.作業は、作業計画どおり行う。
4.路肩・法肩での作業は、地盤のき裂・崩壊が起きないか確認して行う。
5.作業中は機械の作業半径内に作業員を立入らせない。
6.合図を確認して、それに従う。
7.運転席を離れる場合は、バケットを地上に降し、ブレーキをかけキーを抜きとる。
8.主たる用途以外の作業に機械を使用しない。
2)車両系建設機械KYTシート
作業を開始する前に、その日の作業に潜んでいる危険要因を見つけ出して、その対策を講じることは、安全作業を進める上で大切なことである。
KYK(危険・予知・活動)は、毎日の作業開始前の安全ミーティング中で実施するもので、その日の作業手順、仮設設備及び使用機械等に潜んでいる危険要因について作業員で話し合い、その対策を全員で確認して実行する災害防止のための活動である。
安全ミーティングでは、保護具の確認、作業の指示、作業員の配置等、多くの事項を作業開始前の忙しい時間に実施しなければならない。この安全ミーティングの中でKYKも実施されるので、短時間で円滑にしかも効果的に進められるよう安全衛生教育の場で作業員を訓練しておくことが必要である。その訓練(危険・予知・訓練:KYT)において、日常の作業に類似した状況のイラストを示すことができれば非常に効果が上がる。
さらには、リスクアセスメントによるイラストをまじえた作業手順書を作成し、活用するとよい。
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3)高所作業車の場合
高所作業車を用いた作業では、運転者自身が機械の最も高い位置で操作を行うことになる。そのため、災害が起きた場合には、やはり運転者自身が大きな被害を受けやすい。ここでは、作業計画段階・始業前段階・作業前段階のそれぞれについて、重要なチェックポイントを再確認する。
なお、高所作業車を用いて作業を行うときは、あらかじめ、作業場所の状況、高所作業車の種類および能力等に適応する作業計画を定め、その作業計画により作業を行うこと、また作業の指揮者を定め、その指揮者に作業計画に基づき作業の指揮を行わせることが必要である。
また、リスクアセスメントを取り入れた作業手順書を作成し、それらを活用することが大切である。
1)作業前調査と作業計画
a.作業前調査時のチェックポイント
高所作業車を用いて作業を行う場合は、作業場所の状況について事前調査を行い、使用する高所作業車の種類・能力等に適した方法で行わなければならない。特に、公道上で作業を行うときは、通信・電力設備、高所作業車設置環境、周囲の状況などを把握し、作業計画を定める必要がある。定められた作業計画は、関係労働者に周知し、その作業計画により作業を行う。
@高所作業車を安全に設置できる地盤状況であることを確認する。特に、マンホールの蓋・下水マス・L字溝等の有無を認識し、養生の必要性を判断する。(トラック式)
A高所作業車の走行場所の地盤状況(段差の有無、勾配、障害物の有無)等を確認する。(自走式)
B周辺の障害物の有無を確認し、必要に応じて安全に作業を行うことができる適切な措置を講じる。
C架空電線(電力線・通信線等)の有無、離隔距離を確認する。
D送電線等への近接作業時には、所轄の電力会社等の立会いにより、防護ネットの施設等の安全な作業方法等を現地で確認のうえ、指示に従い計画を立てる。
E配電線近接作業時には、絶縁用保護具を使用する。
F公道上では、通行車両や歩行者を勘案した安全配慮に努め、公衆災害の防止を図る。さらに、交通誘導者の配置(人員・箇所)について検討する。
G公道上で作業を行う場合は、道路占有許可条件に沿った作業帯を検討する。
b.作業計画を変更する場合のチェックポイント
作業の進捗によって作業条件等が当初の条件と相違し作業計画の変更が必要となった場合には、速やかに新しい事態に対応した計画を作成し、関係者に変更した内容等を周知させる必要がある。
@示された計画の変更が必要と思われる場合には、作業指揮者を通じて責任者に申し入れ、計画を変更してもらう。
A発注者及び受注者が変更内容を相互確認し、作業工程を決定する。
B変更内容について、全体ミーティングや作業前のツールボックス・ミーティング(TBM)、危険予知活動(KY活動)を活用し、作業者全員が同一レベルで作業できるように配慮する。
C高所作業車の運転者は、変更された作業計画の内容と作業環境、条件等を自ら確認する。
c.賃貸または他の者が使用していた高所作業車を使用する場合のチェックポイント
賃貸(リース・レンタル)した高所作業車や他の者が使用していた高所作業車を使用する場合には、日頃使い慣れている機械を使用する場合とは異なる点についても注意を払う必要がある。
@レンタル車両の使用前に作業現場をチェック
はじめに、どのような現場でどんな作業をするのかをしっかり把握し、理解しておくことがレンタル車両を導入する時の一番の基本である。設計図や作業手順書を見るだけでなく、事前に作業予定の現場へ足を運び道路の幅や交通量ならびに作業位置や範囲を確認することが大切である。
さらには、現場の状況に応じて誘導者を配置し、近くに電線がある場所は、電力会社に連絡し防護管を取付けることを考慮することが必要である。
A作業条件に合わせた最適な機種の選択
一般に広い面積で連続作業を行うケースでは自走式高所作業車、離れた現場を移動しながら作業するにはトラック式高所作業車が効率よく作業ができる。さらに、現場での作業箇所の高さや範囲に合わせて最適な機種に絞り込むことが安全かつ効率化につながる。
B車両の保守管理状態を自分自身でもチェック
レンタル車両は十分に整備されているのが基本であるが、使用者側の責任としても、定期的に検査が行われているかをサービス手帳の記録で確認することが大切である。
さらに、実際に動かして異常がないことを確認し、ある程度機械の知識が必要であるが、整備不良によるトラブルを未然に防ぐためには、そうしたチェックの知識や技術を持つことも重要である。
C作業内容に合わせて工具・機材も準備
最後に、レンタル車両に付属している備品も忘れずにチェックする。もし、不良品があれば交換を要求し、不足しているものがあれば、その場で補充してもらう。
また、実際の作業では機械化車両に加え、数多くの工具・機材も使うため、実際の作業に必要な工具・機材の点検・準備も事前に行うことが、現場でのスムースな作業につながる。
D.安全帯の使用
高所作業車(作業床が接地面に対し垂直のみ上昇し、または下降する構造のものを除く)を用いて作業を行う時は、当該高所作業車の作業床上の労働者に安全帯を使用させなければならない。安衛則第194条の18
これらを踏まえ、運転者自身が以下の点について再確認することが必要である。
・高所作業車の能力、特性及び使用上の注意点(取扱説明書などを参考に)
・高所作業車の整備及び定期自主検査等の状況(検査記録・整備記録などを参考に)
・高所作業車の固有の癖や弱点(始業前点検においても把握しておく。
・その他運転するうえで注意すべき事項等
ブレーキ、クラッチ等の作動状態
前照灯、尾灯の有無及び点灯確認
ブーム、マスト、作業床、アウトリガー等の作動状態
安全装置の作動確認
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4)クレーン作業の場合
a.服 装
@クレーンでつり上げ作業を行う場合、玉掛け作業の合図者は、頂に緑十字など、クレーン運転士から見やすい、所定の標識をつけた保護帽を着用する。
A長袖の上衣やシャツなどは、袖口を止めておく。
B荷やロープなどを取り扱う作業者は、保護手袋を使用する。
C濡れた衣服を着用しない。
D安全靴を着用する。
b.歩 行
@安全標識を確認し、表示された事項を遵守する。
A工場内や現場内では、指定された通路を通る。
Bクレーン、ガーダ、デッキなどへの昇降には、所定の昇降設備を使用する。
C階段を使用して昇降する場合、片手は必ず手すりを握る。
Dクレーンの稼動中は、絶対に飛び乗りや飛び降りをしない。
Eポケットに手を入れたままで歩行しない。
c.整理整頓
@機械、工具、材料などは、常に所定の場所に整理整頓し、品名、寸法、数量、用途などを表示する。
A残材や不用品などは、すみやかに所定の場所に整理する。
Bクレーンやガーダ上など、高所にある物品には、落下防止措置を講じる。
C塗料や油脂類の漏えいを防ぐ。
(※特に廃油の処理を確実に行い、レール、ガーダ、踊り場、通路などにこぼれないようにする。)
D燃えやすいものは収納箱に納め、電灯スイッチや電熱器など、火花や熱の発生するものから隔離する。
d.機器・工具
@機器・工具は、点検・整備されたものを使用する。
A規格外の不良品を使用しない。
B機器・工具の使用方法を確認する。
C使用後は点検・整備し、所定の場所に戻しておく。
e.免許・資格
クレーンなどの作業者は、法定の資格要項を満たしていること。
@免許
・つり上げ荷重が5トン以上のクレーン、移動式クレーン、デリックの運転
A技能講習
・つり上げ荷重が5トン以上の床上操作式クレーンの運転
・つり上げ荷重が1トン以上、5トン未満の移動式クレーンの運転
B特別教育
・つり上げ荷重が5トン未満のクレーンの運転
・つり上げ荷重が1トン未満の移動式クレーンの運転
f.一般的な注意事項
@移動式クレーンの検査証など、必要な書面を運転席に備えつける。
A移動式クレーンの操作は、有資格者を選任して行わせ、氏名を機体に表示する。
B移動式クレーンで公道を走行する場合、道路交通法上の運転免許を有する者に運転させ、氏名を機体に表示する。
C移動式クレーンを使用する場合、使用検査、性能検査、定期自主検査など、法定の必要な措置や手続きが完了していることを確認する。
D移動式クレーンを使用する場合、構造上、法定の基準に適合していることを確認する。
E走行ブレーキは、5分の1のこう配の床面において、無負荷で停止状態を保持できるように調整しておく。
(※この場合、さらに車止めなどによって、逸走防止措置を必ず講じておく。)
g.作業の注意事項
@作業を開始する前に、巻過防止装置、過負荷警報装置、その他の警報装置、ブレーキ、クラッチ、コントローラーの機能など、必要な項目について、点検する。
A定格荷重を表示する。
B定格荷重を超える荷重をかけて使用しないようにする。
C作業場所の広さなどを考慮し、作業の方法などを定め、関係労働者に周知する。
D軟弱な地盤などの場所では、移動式クレーンによる作業は行わないようにする。
E鉄板などを敷く場合には、アウトリガーをその中心におく。
Fアウトリ力一などは、原則として最大張り出しにする。
G強風時には、作業を中止する。
H強風時に作業を中止した場合には、ジブを固定するなどの措置を講ずる。
Iつりクランプ、複数の荷、ハッカーなどによる玉掛けの場合及びつり荷の自由落下の恐れのある場合は、つり荷の下への立ち入りを禁止する。
Jクランプは適正な方法で使用する。
K移動式クレーンの上部旋回体と接触する恐れのある場所への労働者の立ち入りを禁止する。
L起伏する場所でのジブは、定められた傾斜角の範囲を超えて使用しない。
M作業範囲内は、関係者以外の者の立ち入りを禁止する。
N移動式クレーンの操作については、一定の合図と合図者を定め、合図者に合図を行わせる。
O架空電線に近接して作業を行う場合、関係機関(電力会社など)の指示を受け、次のような防護措置を講じる。
イ)架空電線を移設する。
ロ)感電防止のための囲いを設ける。
ハ)架空電線に絶縁用防護具を装着する。
ニ)監視人を置き、危険防止のため、作業を監視させる。
P移動式クレーンで荷をつり上げる場合、外れ止め装置を使用する。
h.運転者の遵守事項
@移動式クレーンの運転中は、免許証など、必要な書面を携帯する。
A作業開始前に必要な点検を実施し、異常を発見したときは担当責任者に報告して、指示を受ける。
B定められた作業方法や作業範囲を遵守し、合図者や作業指揮者との連絡事項を確認する。
C合図者の合図を確認してから、移動式クレーンを操作する。
D荷の斜めづりや横引きをしない。
E荷を降下させる場合、急ブレーキをかけない。
(※移動式クレーンが衝撃で転倒する恐れがある。)
F荷をつったままの状態で、運転位置を離れない。
G運転を休止したり、運転位置を離れる場合、機体を安全な場所に移動し、ジブやフックブロックを所定の位置に固定して、逸走防止措置を講じる。
H運転を休止したり、運転位置を離れる場合、前記の措置を講じた後、動力を停止し、エンジンのキーを抜いて、運転室に施錠する。
I作業中、異常を発見したときは、一時、作業を中止する。
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5)玉掛作業
a.ロープの掛け方
@長い棒状物をつるときは、ロープを1回巻く「あだ巻き」にする。
A丁字形の荷をつるときは「3本づり」にする。
B「目通し2本づり」をするときは、締め方を「深絞り」にする。
C円錐形の荷をつるときは、底面で2本のロープを十文字に組む、「あやがけ」にする。
D棒状物をまとめてつるときは、「はかま」にして荷の一部が落ちないようにする。
Eアイ以外でロープをフックに掛けるときは、フックの上でロープを交差させる「フック殺し」にする。
F一方のアイにロープを通してフックに掛ける「3つ掛け」は、原則的に行わない。
b.荷のつり方
@荷の重心がどこであるか、正確に判断する。
A荷の重心ができるだけ低くなるようにする。
B荷の重心の真上にフックを誘導する。
C重心が荷の上部にあるものや、左右に片寄っているものは、傾斜しないように注意する。
Dロープはフックの中心に掛ける。
Eロープが均等に張るようにする。
F当て物(やわら)は正しく当てる。
Gアイボルト、ジャッグルなどは正確に取り付ける。
H荷の重量が明示されていない場合、荷の形状に応じて、次の算式で概算する(長さ1mあたりの重量)。
・角鋼:一辺の2乗×0.8kg
・丸鋼:直径の2乗×0.6kg
・鋼管:(外径−厚さ)×厚さ×1.2kg
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玉掛けワイヤロープと台付けワイヤロープの違い
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玉掛けに関する知識
フック殺し
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